2009年6月に、1本のレザー製カメラストラップ「クラシコ」からスタートしたULYSSES。
「世界中で日本のカメラによって今日も感動的な瞬間が切り取られているのに、どうしてカメラのアクセサリーには、自分の写欲を刺激するようなものがないんだろう」
そんな素朴な疑問と欲求に突き動かされて始めたのがきっかけでした。
利便性に偏ったものには、デザインを。
デザイン偏重のものには、機能を。
そうやって、ありそうでないものをゆっくりとしたペースで作り続けてきたら、いつの間にか13年の歳月が流れていました。
曖昧な「趣味と仕事の境い目」で、今いちばん興味がある事の中に湧いてくる疑問と不足を言語化し、形にして、世の中の隅っこで小さく提案する。
そんな生き方をしてきて、13年。久しぶりに、ちょっとした変化がありました。
キャンプを始めたことです。
どうしてキャンプを始めたか
どれだけ世間がアウトドアブームになろうとも、たくさんの友人から誘われても、始める気にならなかったキャンプ。
テントの設営や撤収がめんどくさそう、いや絶対めんどくさい。
貴重な週末に体を休めることなく、芋洗い状態のキャンプ場なんか行きたくない。
そんな腰の重い自分に、ある日、知人が言いました。
「キャンプって、その日その日、好きな場所に、自分のお気に入りの家を建てるようなもんなんですよ」
衝撃でした。
焚き火が楽しいとか、キャンプ飯が美味いとか、自然を満喫するとか。
そういうこと以前に、いや、そのすべてを味わうための拠点として、一夜限りの「理想の家」を「理想の土地」に建てる。
そのビジョンに、突如として虜になりました。
それから2ヶ月後には、僕は最低限の装備を調べ尽くし買い漁って、キャンプを始めていました。
今までどおり
さて、二回目くらいで「もうしんどすぎるからキャンプやめようかな」と思いつつも何とか挫折の危機を乗り切り、いよいよキャンプの楽しさのほうが勝ってき始めると、またぞろ、僕の中の「疑問の虫」が蠢き始めます。
この道具は、何でこんな形なんだろう。
こういうものがあればいいのに、何で無いんだろう。
このアイテムは、こうなればもっと愛着が湧くのに。
そもそも、どうやったらキャンプをもっと楽しめるだろう…etc.
不足を埋めたくなるのは、もう、僕の生活習慣病のようなもの。
そういうわけで、ULYSSESを営んできた私たちは、新たにキャンプ用品を生み出すブランドを立ち上げることにしました。
名前は「Col to Col(コル・トゥ・コル)」。
コルとは、フランス語で山の鞍部(あんぶ)を指す言葉で、登山家が、山頂を目指す最終アタックを開始する地点でもあります。
でも、山男は登頂した瞬間には、もう次の山のことを考えるもの。山を下り、好奇心に駆り立てられながら、また次のコルを目指すのです。
そんなアルピニストさながらに、ずっと長く、飽きないキャンプをしたい。
週末が待ち遠しくなる、そんなキャンプのために。